OODAループ思考入門 [紹介]

OODAループ(ウーダループ、OODA Loop)とは、あらゆる場で使える世界最速の思考法です。米空軍大佐ジョンボイドにより作られました、あらゆる領域で適用できる戦略一般理論grand theory of strategy)といわれています*。

世界の軍事戦略を大転換させました。そしてシリコンバレーなどビジネスの世界でも適用され、ビジネススクールで教えられています。VUCAの今まさに注目の、世界最先端にして世界最速の思考法であり戦略理論です。

OODAループは、単なる意思決定プロセスではありません。目的を確実に実現する実践技術です。ジョンボイド戦略論そしてジョンボイド自身が理論形成で踏襲した人類史上の兵法や戦争論そして戦略論を集大成しました。

*Gray, Colin S. (1999) P.91


すべては日本再興のために

先進国で日本だけが賃金は20年以上低迷し生産性は最下位です。
私たちは日本再興のため、シリコンバレーで実証されたOODAループを紹介してきました。

導入が進んだ企業では生産性・収益性を劇的かつ継続的に向上させています。

OODAループ思考 

結局、なにごとも最速で的確に実行する人が成功します。OODAループ思考は、世界最速の思考法です。 そのコツは、状況を認知して行動すること。

OODAループのプロセスは、以下の五つからなっています。

・みる(見る、観る、視る、診る)    :知覚 Observe
・わかる(分かる、判る、解る)   :認知 Orient
・きめる(決める、極める)      :判断 Decide
・うごく(動く)         :実行 Act
・みこす/みなおす(見越す、見直す):フィードフォワード/フィードバックループ

これは誰もが日頃しているプロセスです。瞬時に判断し、すぐ行動するようになるために、OODAループがその方法を教えてくれます。

みるObserve ):

世の中のトレンドをみて、これからどうなるか観察する。

わかるOrient):

どうしたいか、どうなりたいかの夢・ビジョン(目的)を描く。 夢・ビジョンを実現するための戦略(手段や方策)を描く。その戦略を具体化する行動方針(作業)を描く。

きめるDecide):

状況に応じてビジョン・戦略・行動方針に基づいて行動を決める。

うごくAct):

やってみる。

みなおす/みこす(Loop):

結果に基づいて効果のないことを止め、行動方針そして戦略を見なおす。そして、有効な戦略そして行動方針を実行していく。

OODAループを身につけるためには、まず最初にこの五つのプロセスを認識することから始めます。続いて各々のプロセスにおいて提言されている成功の原則を身につけていきます。


学習の方法 

OODAループは、学習の方法でもあります。 

  • みる (見る、観る、視る、診る)    知覚 Observe
  • わかる (分かる、判る、解る)    認知 Orient
  • おもう (想う、思う)             判断 Hypothesize
  • ためす (試す、験す)              実行 Test
  • みなおす (見直す)                     改善 ループLoop

の五つの学習・経験プロセスからなっています。

これは誰もが乳幼児から大人になっても常におこなっている学習です。

OOHTループの各々のプロセスにおいて成功の原則があります。


OODAループ思考:日本人のための世界最速思考マニュアル

誰しもが持っている悩みが、必要なときに行動できないことです。行動できない理由が、OODAループを身につけると明らかになり、すぐに行動できるようになります。

ここで重要なのが「わかる Orient 」です。人間はみる時、同じものをみていても、人によって見方が違います。これはわかっている内容によって捉え方が違ってくるためです。頭の中にしっかりした堅牢な世界観があると行動できるのです。

よくあるのが、思い込みや考え方のクセ、固定観念です。思い込みに振り回されて判断ができなかったり、的確な行動ができなかったりします。

各々のプロセスでOODAループ思考の成功原則を適用することで、夢を実現できます。

本稿では、OODAループの思考法を、日常生活ビジネスでどう使うかを分かりやすく紹介していきます。2005年以来のアイ&カンパニーによる企業での実践経験に基づいた提言です。


みる・わかる:早く気づいたものが勝つ 

みる、そしてわかるのが、気づきです。

状況の変化や、人生において重要なことを、早く気づく必要があります。必ずしも行動が早い必要はありません。気づかないと、致命的な状況に至って初めてその事態を思い知り、あとの祭りとなってしまいます。

気づくための行動方法論があります。シチュエーションアウェアネス Situation Awareness:気づきの方法です。気づきにより臨機応変な行動ができます。

現実の世界に関心を持って、変化に気づくことです。現実の世界と自分の認識していることが合っているか見極めます。

できる人は、気づく人です。凡人が気づかないことに気づいているのです。


わかる:完璧主義では生き残れない

腑に落ちる、わかるようになるためには、自分が理解し感情的にも納得するにたる拠り所を持つ必要があります。

納得するにたる拠り所が、自分の脳の中にある思考回路、イメージです。これを構造的にモデル化したのが世界観:VSAです。規制観念を現実の世界に合わせて見直し常に更新していきます。

世界観:VSAは、ビジョン・自己実現と紐付けて自分の考えを持つことを意識します。この世界観を持つことによって、その場でその瞬間に判断の拠り所を与えてくれます。

できる人は、完璧ではなくとも行動する人です。凡人は完璧を目指して何もできずに終わってしまいます。


わかる・きめる・うごく:その瞬間にうごく 

わかる、きめるそしてうごくことができるためには、納得に行く、十分な情報が必要と考えます。

しかし、現実には、不完全な情報しかなくても、決断を迫られます。

決断をできるようになるためには、それが自分にとってどういうことか意味づけが必要です。意味づけは、センスメイキング Sensemaking ともいわれます。

意味づけができて初めて、状況がどのようなことか理解し納得し行動に移すことができます。

できる人はタイムリーに動ける人です。凡人はタイミングを逃してばかりいます。


みる・わかる・おもう・ためす:アイデアを創造する

アイデア、新しい考えを生み出すためには方法論があります。

アイデアを創造するには、情報を集めてみることから始めます。

そしてその情報を頭の中で考えぬくと頭の中で整理され熟成していきます。わかるのです。アイデアを思いつくことです。ヒラメキという人もいます。

その結果に基づいておもうことをアイデアや仮説として形にしていきます。ここまでが仮説の形成段階です。

そしてアイデアや仮説を具体化するするために、実世界で実験や検証をとおしてためすことで有効か判断します。アイデアを思いつくことはできても、それを現実の世界で具体化するまでできないとアイデア倒れになってしまいす。仮説の検証の段階を通してアイデアが実現できます。

できる人はアイデアが豊富です。凡人はリスクを恐れたりして、過去の踏襲や他人の真似ばかりしています。


きめる:一瞬で判断する

状況に応じてタイムリーに判断して行動することが重要です。その瞬間に一瞬で判断できる必要があります。

判断と行動が俊敏にできることにより、みてわかる気づきの時間を十分に取れます。

状況によっては必ずしも早く決定する必要はありません。

直観による一瞬の判断

OODAでは、最新の情報をみてその瞬間に一瞬で判断することが重視されます。

意思決定は、時間をかけて分析して論理的に行います。

直観は意思決定と使い分けることが重要です。

OODAループは、意思決定に加え直観を駆使して判断をしていくことを重視しています。

できる人は決断力があります。凡人はすべての選択肢を洗い出してから比較分析選択をしないと意思決定できません。


わかる・うごく:直観 

わかったら直観で行動するのが直観です。認知したら、連携 Implicit Guidance and Control (IG&C)により、頭で考えることなく、体が行動します。

失敗の本質

人間はどうしてもモノゴトのとらえ方に偏りができてしまいます。

特に、日本では、異常な忠誠心と精神論にしたがい、その場の空気を読んで判断する風土ができてしまいました。これでは本質を見失い、戦争では敗戦し、ビジネスでは失敗します。第二次世界大戦時からこのような悪習、因習ができてしまいました。

本来、武士の国日本は、形式に流されない質実剛健のサムライ文化を持っていました。ジョンボイドが高く評価していた宮本武蔵はその兵法家の代表です。

空気に流される

モノゴトの本質をみて、トレンドや空気に流されないで判断し行動することがとても重要です。

上司の顔色、社内政治、社内の空気に流されて、お客様の目線が忘れられていては、その組織は衰退します。

例えば、お客様と接する時いわゆる「真実の瞬間」に、お客様の感動してもらえることに気づき判断し行動できることが重要です。

直観力

OODAは、環境を的確に正しくとらえる方法を示しています。環境の認知の方法です。頭の中で考えていることが現実の世界と合致しているか見直します。

お客様そしてマーケットが求めていること、そしてマーケットの潮目の変化を感知して対応できることが重要です。

バイアスを排除して、小学校で学んだ知識のような基本的な原則に基づいて判断することです。1+1=2。これが直観です。ヒラメキの直感ではありません。

体で考えることにより、脳を過剰に使わないで済み、脳の疲労を避けることができます。本来、脳を全開して対応すべきことに脳を使う時間を割り振ることができす。世の中で成功している人は、直観で行動をしています。

例えば、羽生善治棋士やイーロンマスクが直観、体で考えることの重要性を指摘しています。

できる人は直観力を研ぎ澄ましています。凡人は空気に流されて判断できずに時機を逸してしまいます。


おもう・ためす:楽して結果を出す 

気づいて意味づけするのには、脳を使います。多く脳を使うと疲労することから、人間はあまり脳を使った分析、判断をしないようにしています。

脳の負担が軽く、気づいてすぐに行動できるようになるためには、実体験や経験をとおして学習し身につけることが必要です。このための方法が、おもうことをためす学習の方法論です。

経営者の立場でみると、人の育成に有効な方法論でもあります。

できる人はまずやってみて失敗から学びます。凡人は失敗を恐れて完璧な計画を立てて実行しようとします。


みなおすフィードバックのループ 

やってみて、もう一度、悩み、苦しみ、考え直します。これが「みなおす」Feedback Loopです。

みなおす(Feedback Loop)は、PDCAの「振り返り」とは異なります。PDCAは、C「チェック」A「アクション」により実行結果を検査して行動しなおします。チェックとは検査確認して食い止めることです。「アクション」は改善するといわれています。これでは思い込みから逃れられません。

「やってみる」ことがいいといわれています。しかし「やってみる」ことを、頭の中が空っぽの状態でとりあえず「やってみる」ことだと誤解されることがあります。これは試行錯誤です。真剣に考えをもって取り組んでやってみれば、反省振り返りではなく、行動の前提を客観的にみなおすことができます。

「みなおす」のはチェックではありません。次のために、考えていた前提を見直すのです。「みなおす」のは、過去の行動を反省するためではありません。

頭の中に想定するイメージつまり世界観を持った上で試行することで、その想定を「みなおす」ことができます。これをダブルループ学習ともいいます。

できる人は実行の後、前提条件を見直して次のチャレンジを考えます。凡人は過去を振り返って原因を追及して失敗の責任を明らかにすることに関心が行ってしまいます。


OODAループで使われるテクノロジー 

思考能力を飛躍的に向上させるためにOODAループが使われています。

OODAループのフレームワークは、AI人工知能やコラボレーション技術など最先端のテクノロジーをより効果的に選択適用し活用できるようにするためにも有効な示唆を与えてくれます。


OODAループ基本書

ここでご紹介する2冊の書籍は、2005年から現場で適用し成果を実証してきた実戦経験と、2015年から進めてきた出版社の方々との書籍化のための努力の結晶です。

「一般個人向け」と「組織向け」の本格的な入門書です。個人のOODAループの使い方、そして組織のOODAループの使い方を、それぞれわかりやすくスラスラと読めるように書いております。


OODAループ思考[入門]

一般向けOODAループ基本書

個人がOODAループを日頃の生活や仕事に生かしていく方法、OODAループ思考法を紹介した超入門書がOODAループ思考[入門]です。

OODAループ思考のポイントを、ダイヤモンド・オンラインで紹介しています。


OODAマネジメント

組織向けOODAループ基本書

組織の中で、個々人がOODAループ思考を身につけて、行動するためには、組織の改革も必要です。

組織向けOODAループ入門書が、「「すぐ決まる組織」のつくり方  OODAマネジメント」です。

組織でどのようにしたらメンバーがOODAループを使って瞬時に判断してすぐ行動できるようになるか、組織のつくり方を紹介しています。世界で最初にVUCAに基づくOODAループの使い方を紹介した単行本です。OODAループ組織論の入門書です。内容をこちらで紹介します。


OODAループの導入

OODAループの導入より次世代組織への転換(エンタープライズトランスフォーメーションEX)を実現します。まず、社内研修・トレーニングから始めていきます。経営陣から現場メンバーまでを含む関係者の熱狂的な改革の動機付けを行います。

講師は、シリコンバレーの現場でのOODAループ導入をはじめ、日米の企業での改革に実績のあるOODAループ第一人者といわれる入江仁之が担当します。

コロナ禍以降、オンラインでの開催もしております。

 研修・トレーニングの詳細 ▶︎OODAループ研修・トレーニング

参加者のアンケート調査をしておりますが、熱狂的な賛同を得ています。

 研修・トレーニングの評判 ▶︎OODAループ研修参加者の声


著作:アイ&カンパニー 入江仁之
出典:本稿は2005年以来のシリコンバレーなどでのOODAループ実装実績に拠る提言です。
脚注:本論文はビジネスにおけるPDCAとOODAループの適用について議論しています。私たちは、OODAループを広義のOODAループ戦略一般理論つまりジョンボイド理論として定義しています。PDCAの品質統制への適用について議論するものではございません。
本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。

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