「OODAループ」と「PDCAサイクル」の違い

OODAループとは、あらゆる分野で適用できる戦略の理論です。直観等を活かした臨機応変の判断による世界最速の思考法でもあります。夢実現の思考法そして学習の方法を示してくれます。

PDCAサイクルとは、元来は工場で生産などの業務と製品を継続的に改善するための統計を使った品質統制*の方法です。

* Statistical Quality Control, SQC

このページでは、日本で広まっている工場ではなく経営管理の領域で使われる「PDCAサイクル」と「OODAループ」との違いをみていきます。

OODAループについての誤解があります。多くの誤解は、PDCAの考え方を踏まえてOODAループを理解しようとしていることから生じていると思われます。以下に違いをわかりやすく解説します。

特にマーケティングや商品企画開発、人事、経営管理などビジネスでPDCAサイクルとOODAループを適用する場合に、どのように異なっているかを見てみましょう。


「PDCAサイクル」と「OODAループ」の比較

PDCAサイクルとOODAループの違いをわかりやすく示すと下図のようになります。

PDCAサイクルとOODAループは、分野ごとに比較することで各々の特徴と分野ごとの有用性が明らかになります。


「PDCAサイクル」と「OODAループ」の想定している適用領域

本来のPDCAサイクルとOODAループは適用すべき領域や世界が異なります。前提とする状況と目的が違い、直接に対比できるものではありません。

「PDCAサイクル」

PDCAサイクルは、統計的品質統制 SQC, Statistical Quality Controlにおいて歴史的に大きな成果を出してきており、ここで改めて議論する必要はありません。PDCAは全てのモノゴトが想定できる世界で機能します。「PDCAはもう古い」という方もいますが、安定した環境で、かつ心理や感情など人間的要素を無視できる世界では有効です。

しかし、近年はPDCAが、工場の品質統制ではなく、経営企画、プロダクト開発、マーケティング、販売、生産、サプライチェーン、人事、経営管理などの領域で適用されることがあります。

これらの領域は、展開する外部環境との相互作用が多く、想定外の事態が起きます。本来のPDCAが想定していたものではありません。


「OODAループ」

一方のOODAループは想定外のことが起きる状況でも有効です。また、メンタルや感情など人間的側面を重視しています。


「高速PDCA」と「光速OODA」

OODAループでは、現場の即断即行のために直観が使われます。瞬時の判断が重要なのです。

直観は、並列分散処理をこなす大脳皮質と脳幹をつなぐ大脳基底核の「尾状核」Caudate Nucleusで司られることが明らかになっています。ニューラルネットの処理速度で判断する光速のOODAループになります。直観による反射力を生かしたOODAループです。

PDCAが行動の判断までに、計画を立てているのと異なります。計画作成を高速化してもそれは時間単位あるいは日単位、週、月単位になります。

光速OODAループによって、ここ一番のプレゼンテーションやディベート、ディスカッション、意見交換、説得といった場面で成功します。ジョンボイド自身、直観による反射力を活かした光速OODAループがあまりにも凄まじい成果を出すので、一時期公表するのをためらっていたというほどです。


想定している環境

「PDCAサイクル」

PDCAは環境の変化がないという前提が成り立てば有効です。これは人間的な側面を排除した安定した環境が前提になります。

私たちがいる世界は人間的側面が大きく、人間的事象に計画制御のPDCAを当てはめることに無理があります。環境は変化していて、想定外のことが起きない環境という前提が成り立たなくなっています。


「OODAループ」

OODAループは、想定外のことが起こるVUCAの世界を前提にしています。VUCAとは、不安定で Volatile、不確実で Uncertain、複雑で Complex、曖昧な Ambiguous 世界です。

私たちが接している日常がどのような状況かによって行動が異なってきます。状況と行動の関係を体型立てて定義したのがVUCAフレームワークVUCA Frameworkです。


想定している組織文化

組織や文化、業務、経営制度などの側面も、PDCAとOODAで異なってきます。

「PDCAサイクル」

PDCAは、命令統制 Command & Control の中央集権組織を暗黙のうちに前提としています。マネジメント側により計画 Plan と評価 Check が行われ、現場が実行(Do)と改善(Act)をする階層組織で適用されていることがあります。


「OODAループ」

OODAループは、自律分散組織を実現させることが前提となっています。個々人がモチベーションをあげて取り組む組織文化を作って行きます。

権限委譲された現場の個々人が主体となりOODAを実行する次世代 自律分散組織は「ワクワクする組織」といわれています。


計画とビジョン

「PDCAサイクル」

PDCAの「計画(Plan)」は、計画策定を決めた後は実行して改善するまで変更しません。


「OODAループ」

OODAループではそのような固定した計画はありません。「わかる(Orient)」というOODAの過程で、世界観:VSAを随時見直し更新して適用をしていきます。


目標管理

経営制度、目標管理などの側面も、PDCAとOODAで異なってきます。

「PDCAサイクル」

PDCAの「実行(Do)」は、「評価(Check)」で、数値目標の達成状況を評価されます。


「OODAループ」

OODAループではそのような固定した数値目標はありません。自律自己統制です。主体的に目標を管理する方法が目標管理:VSAです。


戦略

「PDCAサイクル」

PDCAの想定している戦略は第1世代から1970年代までの第3世代の戦略です。

軍事の世界で説明しますと、PDCAは大量破壊の「消耗戦」の戦闘を想定しています。


「OODAループ」

OODAループは、第4世代から第6世代経営戦略を想定しています。

スピードの「機動戦」の戦闘を対象としています。OODAループは環境と行動との間の乖離にまで適用していることから対象領域が広範です。このため、PDCAと比較対象とするものではありません。


PDCAは日本だけ、世界はOODA

「PDCAサイクル」

経営の領域でPDCAが使われているのは日本だけです。

PDCAを提唱していたとされるデミング。しかし、実はデミングはPDCAを推奨していませんでした。誤りを指摘していました。詳細は拙著で紹介しています。


「OODAループ」

世界はOODAループです。日本企業がPDCAを何度も回しているうちに、例えば、シリコンバレーのIT企業はOODAループを実行してマーケットを寡占してしまっています。

例えば、リーンスタートアップはOODAループの適用例です。また、特許権ですが、特許の手続きをして時間を浪費しないでマーケットに投入して市場創造、市場寡占をしてしまいます。デザイン思考もOODAループの戦略理論に基づいています。

ビジネスでOODAループを知らずにPDCAにこだわっていては、もはや生き残れません。

OODAループを使っていくには、OODAループの問題点と欠点をわかっている必要があります。


適用事例:受験、石橋、軍事、トヨタ開発方式

OODAループは、世界の軍事で適用され、次にビジネスなどで使われ始めています。

OODAループ導入の前後で、その成果が全く異なっています。PDCAとOODAの違いを、「軍事の事例」「石橋の渡り方」「受験勉強の仕方」を例に説明します。
「PDCAとOODAの違い:軍事の事例」については、こちらを参照してください。
「PDCAとOODAの違い:石橋の渡り方」については、こちらを参照ください。
「PDCAとOODAの違い:受験の仕方」については、こちらを参照ください。

アメリカで評価されていた日本でのOODAループは、トヨタ開発方式:TDSでした。


PDCAの欠点を補完するOODAループ

品質統制などPDCAが有効な分野ではPDCAの強みを生かして、PDCAの欠点の領域をOODAループで補完させて併用するのが合理的です。

特に変化する環境に適応するためビジョンから戦略の柔軟な策定と実行の領域でOODAループが有効です。

PDCAの限られた適用領域と、OODAループの組織への適用法を解説した書籍が拙著「「すぐ決まる組織」のつくり方:OODAマネジメント」です。OODAループのビジネス適用実績にもとづく世界初の入門書となっています。

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「すぐ決まる組織」のつくり方
OODAマネジメント
[紹介]

著者:アイ&カンパニー 入江仁之
出典:本論文は2005年以来のOODA実装結果に拠る提言です。参考文献はこちらです。
脚注:本論文はビジネスにおけるPDCAとOODAの適用について議論しています。
脚注:PDCAの品質統制への適用について議論するものではございません。
脚注:本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。
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