結局、なにごとも、ものごとを最速で行うことで成功します。そのコツは、状況を知覚し認知して行動すること。
OODAループで現実世界を観て世界観を形作っていき、世界観を判断基準に判断して行動します。
OODAループが世界観を形成し戦略の作りと実行方法を決めて実行する方法を示してくれます。
世界観 View of the World
世界観View of the Worldは、世界をどのように観てどのようになると考えどのような戦略をとりどのように行動するか決める潜在と健在を含めた意識です。世界観は、OODAループを適用する際に重要な概念です。
VSA
OODAループ思考の中心にある世界観を示すのがVSAです。
ビジョンを定め戦略そして行動方針を決め実行するフレームワークが、VSAです。
VSAの構造
ビジョン・戦略・行動方針で構成する VSAは、従来の目標管理 Management By Objectives, MBOの現場で起きている問題を解決してくれます。
組織の活動を、ビジョン、戦略、方針の視点で確かめ、目標に向かって組織が一枚岩になり組織的に連携して活動させていくための制度です。
これまでに先進企業で導入、適用され、組織文化の改革、組織能力の継続的な向上などの成果ができています。
ビジョン Vision
5年後に達成する姿です。顧客に対する価値の提案を宣言します。ビジョンは、使命を全うするため、戦略が目指す達成すべき像を示します。個人の自己実現と結びつけるハブになります。
戦略 Strategy
ビジョン実現のための3−4年後に実行すべき方策です。
行動方針 Activities Directions
1−2年で実行する活動方針です。欧米企業では、戦略の次の階層に戦術 Tactics や、活動計画 Action Plan、あるいは実行 Execution を設けている例が多くあります。しかし、これらはいずれも、トップダウン思考の戦略の具体化に焦点を当てています。現場の現実を踏まえた視点が抜ける恐れがあります。現場中心で活動方針を策定することが重要です。
また、当年度の会社方針の展開をする際に、戦略からのみ個々人の方針が決められると、会社方針の展開による機動的な行動ができなくなります。
これらの理由から、この階層は、行動方針 Activities Directions になっています。
以上のVSAは、メンタルモデル・感情のフィルターをとおして行動に移されます。
メンタルモデル・感情
Mental Models and Feelings
メンタルモデルとは世界の見方、頭の中に持っているイメージ、考えです。ビジョンと戦略実現に紐づけられる心のイメージです。感情とは情動と気分です。このメンタルモデルと感情により行動方針が影響を受けます。
メンタルモデルの詳細については、「OODAループ思考[入門]」ダイヤモンド社 を参照してください。
VSAの強み
権限委譲、自律分散の実現
ビジョン、戦略、活動方針の策定に現場のメンバーが参画することにより、権限委譲がなされ、自律分散の経営に転換できます。
ビジョン設定時点での中長期成長の視点
統合VSA管理は、ビジョン、戦略、方針に重きを置いています。また、統合VSA管理は、長期視点からビジョンを設定し、中長期の持続的成長を実現する業務遂行に重点が置かれています。
評価時点での人事評価制度
単に数値の目標達成率で業績給を決めると上記の弊害が出てくるので、人事評価において、十分な議論を尽くすことに重点を置く。評価においてはラウンドテーブルという形式をとります。
評価結果の反映、褒賞/業績給制度
長期的な視点に立った持続的成長を重視する方針確認と実績評価の制度になります。これに基づき、昇進昇給および業績給や中長期視点を重視したRSU(制限付き株式付与業績給)などの業績株式報酬に反映させることになります。
これら、目標・評価・育成・褒賞を一貫して連動した「次世代人事制度:GPDR」が必要です。
「次世代人事制度:GPDR」の詳細については、「「すぐ決まる組織」のつくり方 ー OODAマネジメント」フォレスト出版 を参照してください。
次世代人事制度
VSAは、「次世代人事制度:GPDR」の一環として運用することが重要です。
VSAの設定により目標を設定した後は、日常の業務について上司は部下と1on 1ミーティングを行います。そこでの会話が「なぜなぜ会話」です。目的を常に意識して自ら考えることができるようになります。
VSAは、グローバル展開している先進企業にて、従来導入されていたBSCによる目標管理制度を廃止し導入し、効果を上げています。
従来の成果主義や能力給制度は、環境が常に変化するVUCAの時代では限界が来ています。
統合報告IR制度
統合VSA管理は、国際統合報告評議会(international integrated reporting council, IIRC)が推進する、中長期的な視点での価値創造を的確に外部報告しようとする制度である統合報告(integrated reporting, IR)の原則(principles)にも当てはまる、内部管理制度です。
参考文献
日本型組織の病状を直し、次世代組織に転換する必要があります。事例をとおして具体的な改善・改革の方法を書籍で紹介しています。
OODAループの組織への適用法を解説した書籍が「「すぐ決まる組織」のつくり方 ー OODAマネジメント」です。ビジネス適用の実績にもとづく世界初の書籍でベストセラーになっています。
「「すぐ決まる組織」のつくり方 ー OODAマネジメント」紹介 ▶︎すぐ決まる組織のつくり方 – OODAマネジメント [紹介]
著者:アイ&カンパニー 入江仁之
脚注:本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。
出典:本論文は2005年以来のOODAループ実装結果に拠る提言です。
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