「OODAループを回せ!」が引き起こす落とし穴

「OODAループを回せ!」では、OODAループの効果を発揮できない

誤った頭の使い方をすると、時間の浪費そして脳の疲労をもたらします。

間違った頭の使い方とは、OODAループを使って説明すると分かりやすくなります。OODAループを回すということ。

OODAループで最初のみる Observe ことから始めていたのでは、わかる Orient まで無制限に時間を浪費してしまい、きめる Decide ことができず、結局うごく Act ことができません。

手順に従ってステップ毎に次のステップに移らなくてはならないという固定観念がこの間違った頭の使い方の原因です。

時間の浪費、脳の疲労をもたらす

すると図に示した、見てからの情報伝達の時間、分かってからの判断の時間、決めた後の行動開始までの時間、そして結果が生起するまでの時間が浪費されることになります。

現場とは関わりなく無意識に只々OODAループを回すと、時間ばかりかかり、疲れてしまいます。

軍事の実戦であっても、ビジネスの実践であっても、勝ち残ることができません。



脳の疲労:決断疲れ(decision fatigue)

普通、人間は判断を避けます。決断により脳が疲労しています。脳を使いたくないのです。

今日のVUCAの世界では膨大な情報に埋もれ、ますます脳に対する負担が増しています。脳は酷使されています。全ての疲労は脳が原因といわれています。

脳は日常生活をしているだけでも大量のエネルギーを必要としています。脳の主なエネルギー源はブドウ糖です。人間の脳における酸素消費量とブドウ糖消費量は全摂取量の約25%を占めているといわれています。

まっさらで みる Observe ことから始め、わかる Orient まで時間を浪費し、きめる Decide ことがなかなかできず、結局、うごく Act ことが遅れる誤ったOODAでは、脳が疲労します。

人間は無意識に脳の疲労を避けます。本能的に人間は脳に負担のある誤ったOODAループに基づいた判断を避けようとします。これはPDCAにおいても同様です。脳の疲労をもたらし負荷がかかっています。

これでは、OODAループの理屈はわかっても実際に使うことはできません。OODAループを回しても疲れるだけです。


OODAループについては、OODAループを回せという誤解に加えて多くの誤解があります。▶︎OODAループ:よくある誤解



効率的かつ効果的に頭を使う必要があります。詳細を下記の書籍で紹介しています。



日常で使うためのOODAループ思考の入門書

個人向け

個人が日常でOODAループをどのように使ったらいいかを平易に述べたOODA入門書籍が求められていました。この要望にお応えして、いよいよ個人向け入門書を出版しました。「OODAループ思考 [入門]」です。

ビジネスで使うためのOODAループ組織論の入門書

組織向け

これまで、海外も含めてビジネスパーソンが著したビジネスでOODAループを適用する解説書がありませんでした。実務で適用した知見に基づいた解説本が求められていました。

このようなご要望にお応えして、OODAループの組織への適用法を解説した書籍が「「すぐ決まる組織」のつくり方 – OODAマネジメント」です。世界初のOODAマネジメント入門書です。OODAループを現場へ導入するための方法を、長年の日米企業での適用実績にもとづいて書かれた世界唯一の入門書になります。