OODAループ:戦略の一般理論

PDCAに代わりにOODAループが注目されています。日本だけで使われているPDCAサイクル。計画を立てても、目的が達成されなければ意味がありません。やらされていると感じていては幸福ではありません。

OODAループとは、あらゆる分野で適用される戦略の一般理論 grand theory of strategyです[1]世界最速の戦略理論であり、世界最速の思考法でもあります。

お客様や上司そして恋愛相手など相手の心と自分そして状況をみて、思い込みや形式にとらわれないで本質を認め、直観等を活かして臨機応変に動くことにより、夢を実現させます。

数学から心理学、物理学、生物学、情報工学、宇宙論、人類史上の戦略と兵法におよぶ研究に基づいています[2]

[1]Gray, Colin S. (1999)  P.91
[2]Boyd, John Richard (1992) P9 – P12

OODAループ:五つのプロセス

OODAループは人間であれば誰もが行なっている五つのプロセスです:
Observe = みる
O
rient    = わかる
Decide   = きめる
Act   _    = うごく
Loop       = みこす/みなおす
OODAの四つではなくループが加わり五つです。宮本武蔵五輪書に影響を受け、OODAループを五つのプロセスにしていると言われています[3]

[3]Coram, Robert (2002)  P.446

OODAループの画像を紹介します:

OODA Loopの本質を表す日本語としては、「みる・わかる・きめる・うごく・みなおす/みこす」というヤマト言葉が的確だと考えます。漢語では、みる Observe:監視/観察/診断 、わかる Orient:標定/状況把握/情勢判断/状況判断/見当づけ/方向付け/情勢適応、きめる Decide:意思決定/決断/決定/決心、うごく Act:行動/実行、みなおす/みこすLoop:フィードバック/フィードフォワードとなります。
OODAの読み方ですが、当初ジョンボイドは「オーオーディーエイ」と呼んでいましたが、今では広く普及して「ウーダ」と呼ばれています。

あらゆる分野で適用されるOODAループ

軍事

軍事の世界でOODAループは生まれました。アメリカ空軍で作られ全軍でOODAが運用されています。そしてヨーロッパNATO軍を含め世界の軍事戦略を大転換させました。湾岸戦争でOODAループの戦略が使われ大きな貢献をしました。その後、中国軍、ロシア軍そしてテロ組織もがOODAループで運用していると言われています[4]

[4]Friedman, Brett (2015)

ビジネス

ビジネスでも普及し、アメリカでは、ほとんどのビジネススクールでもOODAが教えられています。アメリカのシリコンバレーを中心に使われているデザイン思考リーンスタートアップはOODAの理論が基盤にあります。

私たちは2005年からOODAをビジネスに適用をはじめ、先行した企業は組織が活性化し生産性が10倍以上になっています。


政治

政治でもOODAが使われています。好みは分かれますがトランプ大統領は、OODAループを実践して大統領選に勝利しました。


AI 人工知能

AI 人工知能の開発でもOODAは使われています。AI 人間が勝ち残る力を明らかにし、認知科学、意思決定理論にも影響をあたえています。


恋愛、就職活動、受験勉強

恋愛、就職活動、受験勉強など身近なところでもOODAが効果を発揮します。結果を出すためにどうしたらいいかを教えてくれます。


幸福

幸せになるためにOODAは有効です。OODAは人そして組織を幸せにすることができます。社会的な意義のある成果を起点にして実現方法を考え実行し成長し認められていくことが幸福なのです。


新しい経営理論の基盤にある理論:OODAループ

アメリカを中心に新しい経営理論が次々と出てきています。

リーンスタートアップ、アジャイル開発、スクラム、DevOps、ティール組織、ホラクラシー組織、自律分散DAO、トヨタ生産方式、アメーバ経営などのマネジメント

デザイン思考、アート思考、システム思考、エッセンシャル思考、ゼロベース思考、ゼロ秒思考などの思考法

新しいマネジメント思考法が必要になってきているのは、時代が先行きを予測できない変化する環境になっていることの証左です。

新しい経営理論に戸惑う必要はありません。これら新しい経営理論には共通の理論があるからです。この基盤となっている理論を把握していれば本質を見誤ることはありません。

これらの基盤となっている理論がOODAループなのです。


OODAループの歴史:軍事戦略の大転換

OODAループの歴史を考察することは、その本質の理解の手助けになります。


アメリカ軍

アメリカ軍の戦略論はクラウゼウィッツを代表とした欧米の戦略論に影響を受けていました。トップダウンの指揮統制を前提として行う敵軍に大打撃を与える戦略でした。これは自軍の部隊の疲弊そして血の海を作ることになる問題がありました。

OODAループは相手の心の状態の本質を見極めます。武蔵の思想を取り込み、敵の心の底を抜くことが勝つことの本質とします。相手をみて、相手の心をわかった上で、うごくのです。

アメリカ軍全軍はOODAループを全面適用し、敵への大打撃を目的とする消耗戦から、相手の意思決定者の戦闘意思をターゲットとした詭道戦に転換しました。


NATO軍

OODAは、世界(アメリカ、NATO北大西洋条約機構など)の軍隊で使われています。それまでの軍隊は絶対的な指揮命令統制にしたがい命をかけて行動していました。OODAが西側の軍事戦略を全面転換させました。


自衛隊:IDAサイクル

一方、日本の自衛隊ではOODAではなく、IDAサイクルを重視しているそうです。情報 Information 、決心 Decision、実行 Action の頭文字です。

OODAとの一番の違いは、Orientation=わかるが抜けていることです。


PDCAサイクルの歴史

PDCAサイクルを作ったのはデミングではありません。デミングがPDCAに関わっていないと発言しています[4]

デミングが日本へ招待され行った講演会の後の1951年に、日科議連の日本人がPDCAサイクルを考え出しました。デミングは生前このPDCAサイクルを批判していました。例えば、チェックはホールドバック(止める)と言う意味で的確ではないと言っています[5]

当初のPDCAサイクルは、統計的品質統制の技法でした。いま日本で使われているものと違っていました。

このPDCAサイクルの適用の歴史を振り返ることによって、PDCAサイクルの本来の目的と限界が見えてきます。

[4]GAO (1980)
[5]Moen, Ronald and Norman, Clifford (2009)

PDCAとOODAの比較

PDCAは戦後日本人が考えた品質統制の方法でした。OODAは人間の思考力と行動力の技術です。両者は、目的が異なり代替関係にあるものではありません。PDCAからOODAへという議論は当てはまりません。

しかし、ビジネス全般で使われるようになったPDCAを、OODAと対比するとその特徴と優劣が明らかになります。

PDCAとOODAとは、認知方法、思考法、制度、価値観、風土、役割分担からリーダーシップまであらゆる側面で異なります。

管理の方法としてのPDCAとOODAの違いは、軍事の具体例や石橋の渡り方、受験勉強の仕方などに例えてみると大きく違うことがわかります(詳細は別の論文で触れていますので参照ください)。Pに時間がかかり過ぎるのです。


PDCAが日本を壊す

上司が部下の作った資料を何度も突き返す古い時代は終わりました。資料を作った後にチェックにされて突き返されていては時間ばかりかかります。


想定外のことが起きない世界

PDCAサイクルは古いという論調もあります。が、想定外のことが起きない世界では今でも有効な考え方です。ただ現実には、変化のない世界はありえない状況です。実験室で行われる実験であっても想定外のことが起きます。全ての変化が予測でき想定できるとは考えられません。

PDCAが評価されているのは、結果を振り返り、継続的に改善を極めるところです。この点は古いといって否定すべきではありません。フィードバックは重要なのです。

ただしPDCAでは完全な計画が作られるかが問題です。計画に対してチェックして改善することから完全な計画が求められます。そして完全な計画ができたとして、環境は変化します。実施結果のチェックで過去の計画を元にチェックすることになります。お客様の視点など展開する外部環境の動きを放置しかねません。

OODAは、結果をフィードバックするだけではなく、それと同時に最新の状況展開をみて認識を見直していきます。


想定外のことが起こる世界

想定外のことが起こる世界では、PDCAは計画を立てることに固執してしまい足を引っ張ります。PDCAは勝ち残るどころか弊害があり、かえって事を悪化させます。企業の崩壊までももたらしかねません。

日本では未だ多くの方々が、あらゆる場面で「PDCAを使え」といわれます。そして「PDCAを回せ」「PDCAを速く回せ」といいます。しかし、PDCAは限定された場面でしか有効ではありません。すべてが制御できる環境下でしか適用できないのです。これは速く回しても対処できません。


想定外のことが起こる世界で有効なOODAループ

想定外のことが起こるVUCAの世界では特にOODAが有効です。

変化するいまの世界では、私たちが日常どのような状況ではどのように考えて行動したらいいかを明らかにしておくことが重要です。この想定外の世界を定義して適応法を示すのが VUCAフレームワーク VUCA Framework です。


日本の組織を蝕む病と
改革の処方箋 OODAマネジメント

歴史的に日本の組織は、昭和初期に入って弱くなりました。第二次世界大戦で日本軍が失敗した本質は、その後、現代の日本の組織になっても、大小の差はあっても受け継がれています。

空気を読むことを要求され、現実からかけ離れた希望的な状況の認識が行われました。そして、過剰な精神論による現状打破の強要です。これが第二次世界大戦での失敗の本質です。

このような失敗の本質は昭和初期になって出てきたものです。

日本は鎌倉時代から武士の国でした。武士道では、勝ち残り社会を治めるため、品格を重んじ、現実の本質を観て、効果的な行動をすることが重視されます。この考えが、武士だけではなく国民全般で受け継がれてきました。

昭和初期になって日本軍は、武士道を悪用して忠誠心を過大に取り上げて組織を運営しました。武士道が歪められたのです。

戦後も、この希望的な環境認識、精神論、理不尽な忠誠心などは見直されることがなく日本の組織に残っています。例えば、PDCAが計画を強要するように使われることは、日本の組織の失敗の本質につながります。第二次世界大戦の失敗がみなおされていません。

OODAループを経営に導入することにより、一人一人が本質を見極め主体的に効果的な行動をできる環境を作ることができます(OODAループによる経営、OODAマネジメントについてはこちらで紹介します)。


PDCAの欠点を補完するOODA

OODAはPDCAを否定するものではありません。PDCAとは別物です。

PDCAの弱点を補強し、勝ち残る力を与えてくれるのがOODAです。PDCAの欠点を補完してくれます。

また、PDCAを置き換えてもくれます。

OODAは日本の組織の弱点を補完し強化するのに非常に有効であり必須の方法です。

堅牢な世界観を自らが持つことにより自己を確立し、日本の組織の失敗の本質を改めます。特に、ビジョンから戦略そしてその実行を進める演繹的な仮説検証アプローチの強化にOODAが有効です。

PDCAに固執せずに、OODAを取り入れることが求められています。


OODAの思考によって、はじめて変化するVUCAの時代に勝ち残ることができます。

時代は変わっています。現在、勝ち残り持続的な成長をしている企業はOODAの本質を見極めて経営に活かしています。

経営側の期待が先行し管理統制型になるPDCAを回している企業とは、差がつくばかりです。


OODAループの基礎理論

OODAループを作った元米軍大佐ジョンボイドは、OODAループの理論構築において、人類史に残る主な戦争でとられた戦略、宮本武蔵の五輪書、孫子の兵法をはじめとする戦略論、数学、物理学、そして認知科学(人間の認知能力)に関連する文献を参考にされています。

OODAループは、トヨタ生産方式にも大きな影響を受けています。ジョンボイドは、空軍での講義でトヨタ生産方式に影響を受けていることも具体的な例を出して説明しています。

本稿の執筆にあたりまして、ジョンボイドの全ての著作と関連領域の主要な原典を参考にしています。


OODAループ成功の原則

OODAループは、単なる五つのプロセスではありません。各々のプロセスに成功原則があります。

OODAループを高速で回すのは誰もが理解し取り組んでいます。しかし、なかなか決断できないで行動できません。これがOOスタックです。実際に行動できない問題を解決し夢を実現するため、OODAループの成功原則は、個人で12原則、組織で12原則あります。

成功原則の一つが、相手の心を動かすこと。軍事の場合には敵国の指導者、ビジネスの場合にはお客様や上司、恋愛であれば恋愛相手、就職であれば採用面接者の心を動かせば成功するのです。



OODAループの適用分野

OODAが適用されている分野は軍事における空中戦の戦術にとどまりません。政策策定から戦略策定実行、軍事遂行のレベルまでカバーします。

OODAが適用されている分野は軍事に限りません。ビジネス、スポーツ、政治、行政、日常生活と広範におよびます。


OODAループの適用機能領域

ビジネス分野へのOODA適用にあたって対象となる機能領域は、ほぼ全ての領域におよびます。

経営、経営企画、事業開発、商品企画、商品開発、製品開発、設計、エンジニアリング、サービス開発、営業企画、マーケティング、営業、販売、生産技術、製造、生産管理、建設、調達、購買、物流、サービス、品質管理、リスク管理、人事、経理、デジタル、情報システムITなどです。

リーンスタートアップ

起業のプロセスであります「リーンスタートアップ」は、OODAの思考法になっています。その成功原則がOODAにより示されています。

デザイン思考

商品企画・製品開発のプロセスであります「デザイン思考」も、OODAの思考法になっています。その成功原則がOODAにより示されています。


ビジョンと自己実現

OODAの重要な要素に、ビジョンがあります。

組織の夢・ビジョンと一人ひとりの心、メンタルが同じ方向に向いて動き出すと、劇的な生産性に加えて幸福感を味わえます。一人ひとりの自己実現と組織の夢・ビジョンを一つに統合できて初めて、組織が勝ち残って行くことができ流のです。

日本企業が心血を注いで策定している中期経営計画や事業計画、目標管理は、形骸化されがちです。形式的な手続き、計画が優先されてしまいます。本当の目標が見失われています。


これらに取って代わるのが頭の中に作られる「世界観:VSA」です。OODAのわかる Orient のプロセスで更新していきます。

世界観:VSAは、ビジョン・自己実現と紐付けて主体的に考えた頭の中のイメージです。上司とビジョンなどを共有することにより、日常の判断の拠り所を与えてくれます。

OODA理論を構築したジョンボイドは、最初にメンタルモデルについて論文を発表しています。また、ビジョンの重要性について講義しています。


次世代 働き方改革

ビジネスにおいてOODAはお客様の心を動かすことを目的に生産性を向上させていきます。自律分散により一人ひとりが自らモチベーションをあげ、やりがいを持って仕事ができる企業文化を作り上げ、生産性を飛躍的に向上させます。次世代働き方改革(生産性向上方法論:PMQIR™)です。詳細を、こちらで紹介します。


OODA:よくある誤解

OODAループが広く普及するとともに、大きな誤解も生まれています。詳細を、こちらで紹介します。


日本企業へのOODA適用の成果

日本企業へのOODA導入適用の成果の概要については、こちらで紹介しています。詳細については書籍で紹介します。

 

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OODAループに興味を持たれた方へ

OODAループ、PDCAサイクルについての論文を紹介します。

詳しくは > 

世界初のOODA入門書

世界初のOODA入門書 入江仁之著 「『すぐ決まる組織』のつくり方:OODAマネジメント」が刊行されます。

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「すぐ決まる組織」のつくり方 

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著者:アイ&カンパニー 入江仁之
出典:本論文は2005年以来のOODA実装結果に拠る提言です。参考文献はこちらです。
脚注:本論文はビジネスにおけるPDCAとOODAの適用について議論しています。
脚注:PDCAの品質統制への適用について議論するものではございません。
脚注:本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。
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