PDCA:問題点と致命的欠点

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の段階を繰り返し回転させることによって、業務を継続的に改善する方法です。

Plan, Do, Check, ActのイニシャルをとってPDCA(ピーディーシーエー)サイクルと呼ばれています。


仮説設定と実験による検証の方法論

PDCAは、仮説や理論を設定して実験で確かめる科学の方法に起源があると考えられています。経験主義の科学的方法論です。

仮説検証の方法論は、情況の観察から想像があり仮説が設定されます。この包括的な方法論が、OODAとなっています。

仮説検証の方法論:OODA」の詳細については、こちらを参照してください。


統計的手法を適用した品質管理

PDCAは、第二次世界大戦後に、ウォルター シュワート(Walter Andrew Shewhart)、エドワーズ デミング(William Edwards Deming)らが提唱した統計的品質管理法です。このため、シュワート サイクル (Shewhart Cycle) またはデミング サイクル (Deming Cycle) とも呼ばれました。

デミングは晩年、PDCAのCをStudyのSに変えてPDSA(Plan, Do, Study, Act)といっていました。


日本独自のPDCA

PDCAは、日本で特に生産技術の領域で使われて来た継続的改善の手法の一つです。

日本では世界的にも独自に、PDCAが適用された品質管理が経営品質として拡大して適用されてきました。


PDCAの問題点

計画の妥当性

PDCAサイクルでは、まず最初に計画(Plan)を策定することが前提となっています。計画策定後に計画策定の前提が変化することがあります。前提が変わってしまっては計画は妥当でなくなっています。また、計画策定自体が困難であっても計画策定を強要しているために、不完全な計画を作ったり、結果的に無駄になる計画策定に時間を要したりしています。加えて、計画策定の時に過去の経験や合意した想定しか考慮できません。


チェックの妥当性

評価つまりチェック(Check)の段階に至って現場からのフィードバックを聞きアクションを取りますが、それは計画を実行(Do)した後のことです。最初の計画の段階で現場と乖離した方針が決められてしまうと、方針転換をするには余計な労力が必要となります。このPDCAサイクルで取り決めたサイクルを回している間に、致命的な事態に至るリスクがあります。計画を前提としたサイクルを高速回転しても根本的な問題を解決できません。


想定外への対処

PDCAのもう一つのリスクは「想定外の予期せぬこと(Unexpected)」を見逃すことです。計画が前提にあり内外の環境感知(Observe)と標定(Orient)をする情勢判断の過程がおろそかになっています。人間は潮目の変化に気づいても、それが何か納得しないと行動に移れない側面があります。行動の後のチェックで変化を気づいても手遅れです。変化が何かを見極め、直感も含めて決定(Decide)することをプロセスとして定めておかないと組織として対応するのは難しいのではないでしょうか。


組織文化・風土の課題

また、PDCAでは評価(Check)をして改善(Act)をするとしていますが、特に多くの日本企業にある失敗を責任追及、犯人探しに結びつける文化では、評価、改善は実態として機能するのが難しいです。組織的に学ぶ環境(これを私どもはナレッジマネジメントと呼びます)を明示的に内包する必要があります。


見直しの限界

激変環境の今日、旧来から特に日本で重用されてきたPDCAでは生き残れません。PDCAに振り回されPDCAの世界から脱却できない方々は、PDCAの一部見直し強化で凌ごうとしています。しかし変化する環境ではPDCAのコンセプト自体が限界にきています。


命令統制

日本企業では、PDCAを命令統制(Command & Control)とともに適用してしているケースが多くあります。このような場合に上記のPDCAの問題点が顕在化してきます。経営の計画と現場の実行が乖離して機能不全になります。


PDCAの弊害:日本企業の現場の実情

日本企業の現場では、以下のように部下が準備して上司が突き返す仕事が延々と続いてモノゴトが前に進みません。

P(計画を現場から離れた会議室で作る)→D(部下:資料作成)→C(上司:これじゃダメだ)→PDC(上司:やっぱりダメ)→PDC(あの案件はどうなった?誰の責任だ?と責任追及)

最悪の場合、スピードが遅いと責任追及されて、PDCAを高速で回せと言われています。

PDCAを高速で回す場合には、こちらを利用してください。

PDCAでは、形式化、形骸化、そして硬直化した悪習を増長させます。中には、経営破綻に至った企業もあります。


PDCAの弊害:日本の政治の実情

PDCAによる政治では、以下のように事業評価から予算編成、事業計画と議会承認された後は、計画がうまくいっているかのチェックに止まっています。

P(予算を議会で承認される)→D(議会はさておき行政側で勝手に進めよう)→C(後になって議会がチェックできない)→A(選挙民の意見は反映されない)

環境や情況が変わってしまい計画自体の見直しをしなくてはならないことになった段階で、時すでに遅しという事態になってから大騒ぎになります。行政が前例主義で従来の狭い考えに凝り固まっていることが多く計画自体に問題があることもありえます。


PDCAの弊害:シン・ゴジラ

想定外の巨大未確認生物、ゴジラに対して、日本の政治統治機構が総力戦で挑む際に、PDCAの限界が明らかになりました。


トヨタのPDCA

一般にPDCAはトヨタだと喧伝されています。「トヨタのPDCA」が理想とされているといった論調もあります。生産技術という限定した世界ではそのとおりかもしれません。しかしそれは一部の生産技術の分野での議論です。

トヨタ内部においても経営の実態はOODAだといわれています。ものごとの事実とその根本原因を現場で見極める現地現物の思想が徹底されています。ジョンボイドはトヨタウェイを研究してOODAループを開発しました。


PDCAの限界

昨今のグローバルでの大型案件が新興国に敗退するケースが増えて来ています。例えば、国をあげて取り組んだ親日国トルコの「世界最長橋建設プロジェクト」受注競争では韓国に敗れました。これらの受注競争をみると、日本は品質さえよければ勝てると高を括っていたのが敗因と考えられます。

すでに品質以外の様々な要因が競争要因になっています。これまでの想定を打破するためにも、PDCAから脱却する必要性がでてきています。


PDCAの致命的欠点

PDCA信者のなかには、計画策定時にそれまでの行動のフィードバックしか考慮しないから悪いのであって、変化する内外環境を洞察して計画すればPDCAでいけるという意見もあります。

そのとおりで環境をみることが重要です。その意味でOODAのObserveから始めることと同じことになります。しかし、そのあとに計画を作ることが必ずしも要るのかは場合によります。方針を決めるだけで実行することが効果的な場合もあります。戦略の計画を立てても、実際にそれが成功するかは結果を見ないとわかりません。環境との相互作用で戦略を柔軟に見直す必要があります。

加えて、PDCAは、環境変化に対応するため、あるいは、計画の妥当性を検証するため、高速で回せば PDCAでいけるという意見もあります。しかし「戦時」の先取必勝の勝負では、その速度の高速化いわば「光速化」が勝敗を決します。

PDCAでは生き残れません。


世界で使われているのは日本

そもそも、米国でデミングが提唱し後年にPDSA(Plan, Do, Study, Act)と変更されたPDCAは、製品やプロセスの継続的な改善のステップです。これを一般的な思考や発想方法として演繹適用することに限界があると思われます。

加えて、欧米の企業でPDCAはほとんど使われていません。PDCAは日本特有のものでもあります。日本で普及しているPDCAが、Plan(動詞) Do(動詞) Check(動詞) Action(名詞)のように動詞と名詞が混在して使われているのも、Plan、Do、Check、Actionが日本でしか使われていないことを表しています。


PDCAとOODAの比較

PDCAを、命をかけてオペレーションをしている軍隊で採用されている判断・学習モデル「OODAループ」(Observe, Orient, Decide, Act)と対比するとその優劣が明らかになります。

PDCAサイクルとOODAループをビジネスで適用する場合、どのように異なっているかを見てみましょう。PDCAは環境の変化がないという前提がなりたてば有効です。

軍事の世界で説明しますと、PDCAは大量破壊の「消耗戦」の戦闘を想定しています。一方、OODAはスピードの「機動戦」の戦闘を対象としています。

OODAは環境と行動との間の乖離にまで適用していることから対象領域が広範です。このため、PDCAと比較対象とするものではありません。OODAは、この他に組織や文化、業務、経営制度などの側面も異なってきます。また、PDCAの計画は、 OODAでは、わかる(Orient)のビジョン・戦略(行動パターンの随時適用)に該当します。


OODAループ

PDCAにかえて「OODAループ」を回せるように思考を変えなければなりません。OODAは「勝ち残るための判断力」です。OODAを具現化させるためには関係する全ての次元、全ての要素、全ての制度で包括的に転換することが求められています。単なる作業プロセスや思考の転換ではありません。

OODA」の詳細については、こちらを参照ください。


シリコンバレー企業で使われているのはOODA

日本企業がPDCAを何度も回しているうちに、シリコンバレーのIT企業はOODAを光速で実行してマーケットを独占してしまいました。

例えば、特許権ですが、特許の手続きをしている時間をとる前に、マーケットに投入して市場創造、市場独占をしてしまいます。

OODAを知らずに、PDCAにこだわっていては、生き残れません。


光速OODA

PDCAを高速化して日次で回すという意見もありますが、光速OODAとでは勝負になりません。

光速のスピードで動くのが直観による反射力を生かしたOODAです。光速OODAによって、ここ一番のプレゼンテーションやディベート、ディスカッション、意見交換、説得といった場面で成功します。ジョンボイド自身、直観による反射力を活かした光速OODAがあまりにも凄まじい成果を出すので、一時期公表するのをためらっていたというほどです。

OODAについての誤解があります。

OODAの誤解:光速OODA」の詳細については、こちらを参照してください。


PDCAの欠点を補完するOODA

PDCAサイクルの欠点の領域をカバーできるのがOODAループです。

PDCAの欠点を補完するOODA」の詳細については、こちらを参照ください。

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