自己決定理論

Self Determination Theory

自己決定理論 とは、人間の動機付け(モチベーション)についての基本理論です。

私たちはやる気を引き出すいわゆる動機付けは、自分が決めた程度(自己決定)が大きいほど、大きくなるという理論です。

リチャードライアンRichard M. RyanとエドワードデシEdward L. Deci により提唱されました。


低い動機付け

自己決定の程度は、自分が決めるのではなく他人が決めてやる気を出す場合に低くなります。他人が決める動機付けを外発的動機付け Extrinsic Motivationと呼びます。

外発的動機付けの例には、外発性が強いものから以下の順になります。

外的規制スタイル:

  • 親にやれといわれたから
  • やらないと叱られるから
  • 親のためにやる

植え込まれた規制スタイル:

  • バカにされたくない
  • 仲間外れにされたくない

同一規制スタイル:

  • 勝つために重要
  • 自分の目標達成のため

統合規制スタイル:

  • 自分の価値観と一致しているから

高い動機付け

自己決定の程度は、自発的にやる気を出す場合に高くなります。自分が決める動機付けを内発的動機付けIntrinsic Motivationと呼びます。

内発的動機付けがある場合には、自己決定の程度が高く、前向きに事に取り組める事になります。

内発的動機付けの例には、以下の内発的規制スタイルがあります:

  • 好きだから
  • 楽しいから
  • 満足できるから

動機付けを継続するためには

動機付けを継続し根気よく努力し続けするためには、有能性 Competence 関連性Relatedness 自律性Autonomyの三要素の欲求を満たす必要があるとされます。

有能性 Competence

自分が成果を出す能力があると感じる欲求です。

関連性Relatedness

他人から認められ、その相手と尊重しあえる関係を構築する欲求です。

自律性Autonomy

自分で決めることができるという欲求です。

出典:Ryan, Richard M. and Deci, Edward L. (2017) Self-Determination Theory: Basic Psychological Needs in Motivation, Development, and Wellness Guilford Press
出典:Ryan, Richard M. and Deci, Edward L. (2000) Self-Determination Theory and the Facilitation of Intrinsic Motivation, Social Development, and Well-Being American Psychologist Vol. 55, No. 1, 68-78(PDF)

シンクロ絶対王者の強さの秘密

自己決定の重要さ、すなわち目的の大切さの例として、ロシアの女子シンクロナイズドスイミング絶対王者でゴールドメダリストのナタリア イシェンコNatalia Ishchenko 選手の話をしましょう。

イシェンコ選手は幼い頃から自分が壁にぶつかった時にそれを超えて向上していくことを目的にシンクロをしてきたそうです。この目的を自分が考え自分で決めて行動されています。

大多数の他の選手たちは、親が期待してやれといったからとか、国のためにオリンピックに出場して金メダルをとるとか、競技をする目的を他の人たちのためと考えています。すると壁にぶつかったらそのプレッシャで壁を乗り越えられないことがあります。実際にイシェンコ選手のペアであるスベトラーナロマーシナSvetlana Romashina選手も、大半の選手と同様にオリンピックに出ることを国のため親のためと考えていたそうです。

それに対してイシェンコ選手は壁にぶつかり壁を乗り越えることを、自分に与えられた能力を向上させる機会ととらえ自分のこととしてチャレンジします。イシェンコ選手はいいます。「トップアスリートである以上、壁にぶつかった時の解決法の『レシピ』なんてない。忍耐強く向き合えば解決法は見つかります。答えはいつも自分の中にあります。」その結果イシェンコ選手は厳しい訓練に耐え、シンクロの絶対王者として史上最強の戦績を勝ち取っています。

イシェンコ選手はすべて自分のこととした主体性をもって競技に取り組んでいます。目的決定に他人が関わっていないので壁にぶつかっても常に自分のこととしてチャレンジして解決していけるのです。

出典:NHK(2016)「NHKスペシャル ミラクルボディー:世界最強の人魚たち」

アンダーマイニング効果

自らが進んでやりたいと思う、内発的に動機付けられた行動に対して、その行動に金銭を与えるなどの外発的な動機付けを行うと、やる気がなくなってしまいます。このモチベーションが低下する現象をアンダーマイニング効果undermining effect、あるいは、抑制効果といいます。

1971年、エドワード L. デシEdward L. Deciによる実験[1]で脚光を浴びるようになりました。

アンダーマイニング効果が後に自己決定理論として理論化され広く社会に広められるようになりました。

[1]Deci, Edward L., (1971)  P.105-P.115

 

 

 


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著者:アイ&カンパニー 入江仁之
脚注:本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。
出典:本論文は2005年以来のOODA実装結果に拠る提言です。参考文献こちらです。
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