気づきの方法論:センスメイキング

観察して(Observe)、その意味が分かり(Orient) 行動に移していける力を「気づく力」Sensemakingといいます。

見たものが何でどうなるのか情勢を見定めることです。現在の情況がどのような過程で起きて、その状況がどのように変化していくのかをわかることです。

気づいて(みてObserve、わかりOrient)行動を起こせるようになるまで、情勢の変化の意味が分かること(情勢判断)です。

複雑で多面的な世界では、納得させるために、説得力ある意味づけストーリー性が必要です。そしてその後は、環境への働きかけ(Enactment)により相互作用させます。納得がいくと、思い込みによって、自己成就(Self Fulfilling)が起こされます。

対象は、想定していないこと、予測もしていなかったこと、期待していなかったこと(unexpected)です。これら想定していないことを、人間が経験して、その意味づけをすることが非常に重要です。このプロセスがないと、気づかない、あるいは気づいても行動に移せません。


誤った判断でも判断しないよりいい

ミシガン大学教授カール E. ワイクは、センスメーキングは正確性よりももっともらしさが重要だといいきります[1]

一貫性、道理性、創造性が重要です。スピードと正確性のトレードオフの場合、正確性よりもスピードのほうが勝負を決します。時間が命です。限られた時間の中で詳細に観察していることによるコストは高すぎることが多いのです。躊躇していたり他のパターンが当てはまるかと考えていたりすることで、貴重な時間を浪費してしまいます。限られた時間でもっともらしさ、一貫性、道理性、創造性に注力して結果を出していきます。


ハンガリー軍隊アルプス山脈での遭難

カール E. ワイクが紹介し世界的に有名になった事件があります[2]。これは、ハンガリーのノーベル生理学・医学賞受賞者アルベルト セント-ジェルジAlbert Szent-Györgyiが語っていた話をチェコの詩人ミロスラフ ホルブMiroslav Holubが詩[3]にして紹介しています。

それはスイスでの機動演習のときに起こりました。ハンガリー軍小隊の若い中尉は偵察隊をアルプスの凍てつく荒れ地へ送りだしました。

その後すぐに雪が降り始めました。2日間雪が降り続きました。偵察隊は戻りません。中尉は苦しみました。彼が派遣した部下たちを死に追いやってしまったのではないかと。

しかし3日目に偵察隊が戻りました。彼らはどこにいたのか? 彼らはどのようにして道をみつけたのか?はい、その男がいいました。自分たちは道に迷い、これで終わりかと覚悟しました。すると、隊員の一人がポケットの中に地図を見つけました。そのおかげで私たちは落ち着きを取り戻すことができました。私たちは野営し吹雪をやり過ごしました。 その後地図で帰り道を見つけだしました。そしてここにいるのです。

中尉はこの命を救った地図を見せてもらいました。よく見ると、それはアルプス山脈の地図ではありませんでした。

ピレネー山脈の地図だったのです。

間違った地図であってもそれがきっかけで気づきとなります。そして一度気づくとそれが発火点になって考えが発展して意味付けがされます。そして行動を起こし偵察隊は生還したのです。

[1] 「センスメーキング イン オーガニゼーションズ」カール E. ワイク著、遠田雄志・西本直人訳 文眞堂2001年

[2] この事件は様々なところで紹介されていますが中身が変わって、ピレネー山脈に登った登山隊が雪崩に遭遇という話で伝わっているのを目にします。しかしそれからの解釈はこちらの原典と同様になっています。つまり間違った地図でも助かると主張されています。間違った引用の事例からも、「人間は認識を誤ることがありますが、認識が誤っていても行動することにより結果を導くことができる」といえるのです。

[3] The Times Literary Supplement (TLS), 1977年


組織改革

私どもは、この分野に適用できる最先端の技術を開発しているパートナー企業と連携して組織改革の支援をしています。

目指すのは、商品企画、製品開発、品質管理、顧客管理、マーケティングなど様々な領域で、市場の潮目の変化に気づいて、その動きがどのようなものかが分かり、情勢判断して、行動に起こせる組織です。組織、仕組み、体制、文化の領域にまたがる変換です。

センスメイキングを実現する組織戦略に、パワートゥザエッジがあります。これは、ネットッワーク中心戦(network centric warfare)の概念を組織に適応させる概念です。

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