「OODA LOOP(ウーダループ)」 の書評


チェット リチャーズ 著、原田 勉 翻訳 (2019/2/22)「OODA LOOP(ウーダループ)」東洋経済新報社

著者は、数学博士で米国防衛産業の経営コンサルタント、ジョンボイドの同僚でもあったチェット・リチャーズ氏です。本書では愛弟子とされていますが、リチャーズ自身は同僚(Colleague)と言っています。
訳者の原田勉氏は神戸大学大学院経営学研究科教授です。


PDCAの限界に対する危機感

ベストセラーになっているのは、PDCA信奉の限界を感じている読者が増えてきているためでしょう。


原著の評価

「OODA LOOP(ウーダループ)」の原著、Chet Richards著「Certain to Win」は、2004年に発刊されたものです。

ジョンボイド戦略理論を、軍事だけではなく、ビジネスなどあらゆる人間のコンフリクトに適用することができると述べています。

これまでジョンボイドとOODAループ理論を紹介した書籍が欧米で数冊出版されていますが、リチャーズ氏のこの原書は、Robert Coram著「Boyd」と共に私自身も参考にさせていただいてきました。


ビジョンを実現する戦略

本書で議論しているビジョン、戦略と計画の関係は、ビジネスの現場で戦略の遂行に苦労している人たちに自信を持たせてくれるインパクトのある指摘です。ビジョンを実現するために戦略があるのです。戦略の遂行のために計画があります。


日本語版出版の評価

15年後の日本で出版されるのは、日本だけで偏重されているPDCAサイクルに対する問題意識、そしてスピードに劣る経営が行われている危機感からだとのことです。本書の日本語序文、そして訳者解説で、PDCAサイクルの限界を取り上げ、危機感を訴えています。

ビジョンの下位にミッション

加えて原田勉氏は訳者解説で、ビジョンとミッションの関係をリチャーズ氏に再確認した上で、ビジョンがミッションの上位概念だと紹介されています。これは、日本企業の経営者に対しても重要な指摘になります。ミッションを目的に掲げてその実現のために中期経営計画を立ててきた企業に対して大きな問題提起となることでしょう。


世界の軍事戦略を一変させたOODAループ

本書では、事例としてドイツの電撃戦などOODAループ導入以前の戦いを中心に扱っています。

その後、ジョン・ボイド氏が戦略策定に関わったと明らかになった湾岸戦争でOODAループが大きな成果を出しています。そして、OODAループは中露やテロリストを含め世界の軍事戦略を一変させたのです。


リチャーズ本出版後の研究成果

自律分散組織

OODAループが前提としている自律分散組織の理論は、リチャーズ氏が出版した時代から大きく発展をしています。最近は、ホラクラシー、セムラーイズムに加えてティール組織などのモデルが提言されています。

あらゆる分野に適用できる一般理論

ジョン・ボイド氏は人間の心理的側面をも深く研究しOODAループに取り込んでいます。 その研究内容は、認知心理学の研究などに先駆けたものでした。

その後、OODAループ理論は行動経済学や心理学そして人工知能などの研究により目覚ましい発展を遂げています。

これらによって、OODAループは『あらゆる分野に適用できる戦略の一般理論』になっているわけです


すぐ決まる組織のつくり方 – OODAマネジメント

本書リチャーズ本の出版後の研究成果を取り込み、導入実証してきた実績に基づき刊行した書籍が、拙著『「すぐ決まる組織」のつくり方―OODAマネジメント』です。世界初のOODAマネジメント入門書です。

OODAループをアメリカと日本の先進企業で導入した実績に基づく世界唯一の書籍です。

本書と併読していただくと、ビジネスでのOODAループの使い方について理解が深まると思います。


世界最速の思考法 – OODAループ

また、個人がOODAループを使う方法については、「世界最速の思考法 – OODAループ」(仮称)を、この秋に上梓する予定です。2015年から研究してきた成果になります。スラスラと読めるように、わかりやすく述べていきますので、ご期待ください。詳細はこちらを参照してください。

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著者:アイ&カンパニー 入江仁之
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