直観の技術

 

直観 (Intuition)とは、私たちが日常使っている経験に基づいた瞬時の判断です。過去の経験や知識に基づいた、即時的で論理的な認識です。成果を左右すると頭に浮かぶ行動だけを検討して決めます。

あらゆる場面を想定した完全な検討は脳の負担が大きく現実的ではありません。また、瞬間の判断が必要な時間制限の厳しい、または判断がもたらす結果の影響が大きい究極の情況においても、判断が求められます。この瞬時の判断が直観です。


思考モデルに基づく判断

直観とは、思考モデルに基づいて、知識や経験に基づいて心の中に浮かぶイメージであるメンタルモデルに情況の成り行きを当てはめて、とるべき行動を決めることです。情況とメンタルモデルと照合してマッチする場合にその解を決めます。科学的あるいは論理的な推論を挟まないで直接的に考えを定めます。

思考モデル:VSMA™」の詳細については、こちらを参照してください。


ヘンリー ミンツバーグ(Henry Mintzberg)は、直観は潜在意識において知識が意識として認識された時に起きるといっています。

ゲイリークライン(Gary Klein)は、再認(recognition)を通して、提示された情報が、ヒントや選択肢など連想によって、記憶として保持されているものかどうかを参照して瞬間に判断することを明らかにしました。

ドレイファス兄弟(Stuart E. Dreyfus & Hubert L. Dreyfus)は、直観は技術の習熟度が上がるにつれ人間は専門的知識より直観的理解に頼るようになるといっています。

直観は一般的にビジネスで使われるその瞬間の判断です。直観は、情況に応じて成否を見極める臨機応変の判断の際に使われます。

直観は「」ではありません。

直観は「直感」とは異なります。


直観の事例:プロの直観

ゲイリークライン(Gary A. Klein)の研究では、消防士などプロフェッショナルは選択肢を洗い出してその中から分析して選ぶことなく、その場の情況から最適なイメージと情況を照らし合わせて判断して行動することが明らかになっています。

将棋で、次の手の選択肢が多すぎて読みきれないほど複雑な局面になってきますと、プロ棋士でも先の手を読みきれません。その時に先の手が瞬間でわかることがあるといわれています。これが直観です。


OODAのフレームワーク

OODAを使うと直観の働かせ方が構造的に説明できます。

みる(O:Observe)で情況を感知して、わかる(O:Orient)で思考モデルとマッチングさせ、きめる(D:Decide)で即断して、うごく(A:Act)で行動します。

OODAループ」の詳細については、こちらを参照ください。

思考モデル:VSMA」の詳細については、こちらを参照ください。


判断と直観の違い

判断は考えを定めることです。直観により判断されます。直観力を研ぎ澄ますことにより、瞬時の判断ができるようになります。

判断の技術」の詳細については、こちらを参照ください。


意思決定と直観の違い

直観は、意思決定と異なり選択肢を洗い出して比較検討し選定することをしません。メンタルモデルの中で行動パターンを常に想定していて、情勢に応じて的確な判断を下します。

意思決定 」の詳細については、こちらを参照ください。


直感と直観の違い

直感(Instinct)とは、物事を瞬時に感覚的に認識すること感じとることです。ある種の第六感を意味しています。当てずっぽうの場合もあります。中にはヒラメキを期待していることもあります。論理的な説明ができない判断です。経験とは関係ありません。勘(で答える)のような日常会話での用語です。

直感直観を混同して使われている場合がありますが、ここでは、直観を、メンタルモデルに基づいた推論として定義します。このため、直観は訓練により鍛えることができます。直感とは異なります。


直観力の発揮の仕方

無心、無我、忘我の情態になると、主観がなくなり、自信過剰から解放され、潜在意識が活性化されて本来の力が発揮できます。


直観力を身につける方法

直観は、学習、鍛錬(反復の訓練)によって身につきます。歳をとるほど、経験を積むほど正確になります。

裏返せば、鍛錬、訓練によってしか身につきません。歳をとるほど、経験を積むほど、直観によって解を得られます。

一方の直感は、訓練をしても能力は向上しません。

直観の力を身につけるための鍛錬による技術習得モデルが、ドレイファス モデルです。

ドレイファス モデル」の詳細については、こちらを参照ください。


直観が誤るリスクと対処法

直観が間違えるリスクを指摘したのが、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル カーネマン(Daniel Kahneman)です。

主観自信過剰などの思い込みによって判断を誤ると指摘しています。人には癖があります。思いグセの枠を外すことが重要です。

また、認知バイアスによるものがあります。


直観が信用できる条件

ゲイリークラインとダニエルカーネマンの共同研究の結果、直観が信用できる条件が挙げられています:

  • 知識や技能、解決パターンを十分に学習できている
  • 一定以上の訓練時間を経ている(チェスの場合、一万時間以上と言われています)
  • 技能や思考パターンを学習する環境が準備されている
  • 優れた指導者からフィードバックが得られる
  • 学習したことを実際に応用して練習する、積極的な学習意欲、やる気などがある
  • 訓練によって主観と自信過剰が抑制できるようになる
(”Conditions for intuitive expertise – A failure to disagree” / American Psychology 2009年9月号)

再認主導判断:RPDモデル

ゲイリークラインは、人間がいかにして選択肢を比較検討しないで迅速な判断ができるかを、再認主導判断:RPD(Recognition Primed Decision)モデルにより説明しました。

再認主導判断:RPDモデル」の詳細については、こちらを参照してください。

アイ&カンパニー・ジャパン
「経営コンサルティング」「講演」のお問い合せは
こちらのeメールへお願いいたします
marketing@iandco.jp
image©️2015,2016,2017 I & Company, All rights reserved.