自律分散組織

自律分散組織 Decentralized  Autonomous Organization, DAO とは、現地現物を重視した一部の日本企業で採用され成功してきた組織モデルです。自律的に活動するチームのメンバーが関係組織と協調、コラボレーションする自律分散経営を行う組織です。自律分散型組織ともいわれます。

俊敏な思考法でありますOODAループの実装形態でもあります。自律分散組織は、最近、欧米企業そして日本企業においても注目されてきています。


自律分散 Auftragstaktik

経営(上司)と部下の間で任務遂行について契約が交わされます。

ビジネスではこれを自律分散といいます。

軍事ではこの任務契約を委任戦術 Auftragstaktik, 訓令戦術 Mission-type tactics, ミッションコマンド Mission Commandなどといいます。


ミッションコマンド(任務指揮) Mission Command

ミッションコマンド任務指揮) Mission Command あるいは訓令戦術 Mission-type tactics とは、軍事において、使命を指揮することです。指揮官が計画を立案し行動を指示することを避け、部下に任せます。

プロイセン(現在のドイツ)の参謀総長だったヘルムート フォン モルトケ Helmuth Karl Bernhard Graf von Moltke が、カール フォン クラウゼヴィッツの思想に基づき、最初にミッションコマンドを採用しました。

ジョンボイドは部下が主体的に決めるこのミッションコマンドが不確実な環境で俊敏な行動をするために重要だといいます。

ミッションコマンドの指揮で運営される組織が自律分散組織になります。

クラウゼウィッツ」の詳細については、こちらを参照ください。


ディーテイルコマンド Detailed Command

ミッションコマンドが採用される以前の指揮は、ディーテイルコマンド Detailed Command です。詳細に手段・行動までを指揮する仕方です。詳細指揮といいます。

ディーテイルコマンドでは、部下は指揮官の指示がすべてです。指示を待って行動します。

日本企業をはじめとした日本の組織は、歴史的に、詳細指揮による管理統制が使われてきました。

詳細指揮が行われている組織では、そこで働いている人たちは、指示待ちになってしまいます。


中央集権、官僚的組織、ピラミッド組織、ハイアラーキー組織

自律分散は、従来の大半の企業が採用している中央集権や官僚的組織、ピラミッド型組織、ハイアラーキー(ヒエラルキー)型組織など階層型組織の対極にある組織モデルです。


事業創成、事業転換に適した組織:自律分散組織

新たな事業を創成して、事業転換をしていくためには、旧来の事業組織の配下で事業創成チームを編成しても実現するのは困難です。旧来の事業組織はオペレーションに重点があり、保守的に過ちを少なく高効率な運営をすることが重要でかつ要求されるためです。

新たな取り組みをするためには、自律分散組織が有効です。事業創成のミッションを与えられたチームを縦横無尽に発足させてイノベーションを起こさせることが重要です。


自律分散組織の実例

これまでに部分的に自律分散組織を導入している事例は多岐に渡ります。

旧来の組織の中で自律分散組織を構築している実例として以下にいくつか紹介します。


プロジェクト組織

プロジェクト組織も、期間限定の自律分散組織の一形態になります。個々のプロジェクト専任チームを作り、 プロジェクトを遂行します。

欧米先進企業では、組織の垣根を越えて新たな取り組みをするコラボレーションというキーワードでも議論されている組織の取り組みです。


GE ワークアウト™

官僚的組織の悪弊を打破するためにジャックウェルチにより採用されたのがワークアウトです。ワークアウトはGEの登録商標です。組織の壁、境界がない組織を実現するために作り上げた組織風土改革の方法論です。タウン・ミーティングと共に、組織横断で官僚的な弊害の手続き、過剰な報告書や承認を無くしていきます。

組織横断の問題を解決するために様々な組織部門からメンバーを出して解決策を俊敏に決定実行していきます。


リーンスタートアップ

シリアルアントレプレナー、エリック リース Eric Ries により提唱されているリーンスタートアップも、自律分散組織の一例になります。素早くアジャイルでリーンに事業を立ち上げるためにベースになっているのは、OODAと、トヨタ製品開発方式TDSです。計画を立てることに注力するのではなく、お客様の視点を重視して事業を作り上げていきます。

GEもリーンスタートアップに従った自律分散組織への転換をしています。


トヨタ BR組織

自律分散組織の代表例がトヨタの「BR(ビジネス・リフォーム、Business Reform)組織」です。喫緊のテーマに対して、関係部門からメンバーを集めた全社組織横断の統括部門です。一種のタスクフォース型のプロジェクトチームです。

トヨタで設けられているBR組織は、電気自動車の開発、コネクティッド戦略、コミュニケーション改善、現地生産・現地調達推進など、事務領域から、技術領域まで様々です。


日産 CFT組織

自律分散組織のもう一つの例が日産の「CFT, Cross Functional Team 組織」です。特定のテーマについて期限を設けて活動をする、関係部門から将来有望のメンバーを集めた全社組織横断のチームです。

日産のCFTには、#1 事業の発展、#2 購買、#3 製造・物流、#4 研究開発、#5 マーケティング・販売、#6 一般管理費、#7 財務コスト、#8 車種削減、#9 組織と意思決定プロセス、#10 設備投資コスト、#11 ダイバーシティ、#12 時間短縮があります。


ネットワーク組織、アメーバ型組織

組織構造としてはネットワーク組織の形態を採ることもあります。しかし、ハイアラーキー(ヒエラルキー)型組織でも、自律分散組織は実現されます。稲盛和夫氏の実践してきたアメーバ経営も、その一つの形態です。


コミュニティ オブ プラクティス COP

コミュニティ・オブ・プラクティス(Community of Practice、実践コミュニティ)とは、 あるテーマに関して実務を遂行するにあたり、その分野の知識や技能の相互交流を通していく人々の自律分散組織集団です。


コミュニティ オブ インタレスト COI

コミュニティ オブ インタレスト(Community of Interest、関係者コミュニティ)とは、 あるテーマに関して関心を持った人々が、その分野の知識や技能の相互交流を通じて深めていく自律分散組織集団です。


次世代 自律分散組織:ワクワクする組織

メンバーの動機付けを重視して現状打破を図りイノベーションを起こしていく次世代自律分散組織に、ワクワクする組織があります。

ワクワクする組織には、以下のような適用形態があります:

  • セムラーイズム Semlerism
  • ホラクラシー Holacracy
  • ティール組織 Teal Organization
  • 全員参加経営 Participatory Management
  • 管理のない経営 Management By Absence
  • サーバントリーダーシップ Servant Leadership

ワクワクする組織」の詳細については、こちらを参照ください。

 

著者:アイ&カンパニー
脚注:本論文はフィードバックに基づき随時、更新しております。
脚注:OODAの研修・実装の詳細はこちらを参照してください。
出典:本論文は2005年以来のOODA実装結果に拠る見解です。参考文献こちらです。
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