OODA:よくある誤解

最近はOODAループを知っている人は増えてきました。しかし、OODAについて多くの誤解がみられます。


誤解:OODAを高速で回せ

誤解の一つが、PDCAと同様に単純なサイクルとするというものです。

PDCAは段階を踏んで回すものです。繰り返し計画をたて実行して振り返り改善します。それも高速で回すことが求められています。速度が重要です。高速PDCAが理想とされます。計画を達成することが目標です。

一方のOODAは回すものではありません。下記のようなOODAループをイメージしているようでしたら、大きな誤りです。

そのような誤解がされていると、OODAを回転させることにとらわれ、時間を浪費します。時間を浪費するとともに脳が疲労していきます。

この時間の浪費そして脳の疲労をもたらすのが、環境にかかわらないOODAのステップのサイクル回転です。

PDCAが回らないという問題と同じ事態になってしまう危険性があります。


誤解:情勢判断、方向づけ

一般の議論をみますと、OODAの二番目のO:Orientの意味や解釈について誤解があります。

O:Orientとは、「情勢を判断」「状況を判断」するだけではありません。「方向づけ」だけでもありません。これらは、便宜的な表現と理解しておく必要があります。

ジョンボイドは、Orientする活動を「変化し発展するメンタルモデルの世界を、変化し発展する観察された現実の世界に一致させる、自然を本質的に理解する考え方(弁証法)」と定義しています。

OODAのOrientとは、脳により現実の世界を認知する、認識する、そして理解し、見当づけし、納得して行動に移すまでのプロセスです。日本語の わかる ことです。

ジョンボイド が最初にメンタルモデルを提言しました。その後、認知科学 Cognitive Science の分野で、研究が進んでいます。

わかる Orient を起点に、みる Observe 、きめる Decide 、うごく Act ことで、俊敏な行動ができます。


誤解:形式主義の固定観念

固定観念の破壊と創造が必要です。短文の記事の説明では限界があります。状況の中に入り込んで現場で体験したように説明により疑似体験しないと納得は難しいかもしれません。

ポジティブリスト方式の形式主義

例えば、特に日本人は、計画やルールを守るのが好きです。これが功を奏して、1960年代からバブル期までの経済成長を実現させました。決まったことを頑張ればよかったのです。指示を待って忠実に従い行動する文化ができました。

日本では、ポジティブリスト方式で計画やルールを定め行動を統制します。

これしかダメと規制するのです。これだけはできるという規制です。限定的に列挙されたと解釈されます。例示的に列挙されており他もできるとは解釈されません。

この思考が固定観念として身に染み付いているので、形式主義思考停止、指示待ちになります。リスクを取らないのです。できることに縛られる日本人の固定観念に紐づいています。これが形骸化する形式主義を生んでいます。

このような固定観念がPDCA信仰を巻き起こしてきました。

この観念に引きずられると、OODAを採用しても、PDCAのP:計画に代わるものをどうしても欲しいという思いになります。P:プランの代わりにD:デザインをしてからOODAを回すという意見はその一例です。

ネガティブリスト方式の本質主義

これに対して、欧米では、ネガティブリスト方式で計画や規制を定めます。大陸ドイツもネガティブリスト制度に移ってきています。

計画や規制に書かれていないことはやっていいとなります。これだけはできないという規制です。規制が必要なものは限定的に列挙し、それ以外への演繹適用をしない方法です。

ネガティブリスト方式だとワクワクして期待を超える成果を出してしまいす。計画やルールの破壊と創造が起きていきます。

組織が一枚岩になって行動できるように固定観念から破壊と創造をしていきます。


誤解が、時間の浪費、脳の疲労をもたらす


時間の浪費

誤ったOODAを実行すると、時間の浪費そして脳の疲労をもたらします。

まっさらで みる Observe ことから始めていたのでは、わかる Orient まで無制限に時間を浪費してしまい、きめる Decide ことができず、結局うごく Act ことができません。

次のステップに移らなくてはならないという固定観念が、環境から乖離したサイクル回転を強要します。

すると図に示した、見てからの情報伝達の時間、分かってからの判断の時間、決めた後の行動開始までの時間、そして結果が生起するまでの時間が浪費されることになります。

軍事の実戦であっても、ビジネスの実践であっても、勝ち残ることができません。


脳の疲労

普通、人間は判断を避けます。脳を使いたくないのです。

今日のVUCAの世界ではますます脳に対する負担が増しています。脳は酷使されています。全ての疲労は脳が原因といわれています。

脳は日常生活をしているだけでも大量のエネルギーを必要としています。脳の主なエネルギー源はブドウ糖です。人間の脳における酸素消費量とブドウ糖消費量は全摂取量の約25%を占めているといわれています。

まっさらで みる Observe ことから始め、わかる Orient まで時間を浪費し、きめる Decide ことがなかなかできず、結局、うごく Act ことが遅れる誤ったOODAでは、脳が疲労します。

人間は無意識に脳の疲労を避けます。本能的に人間は脳に負担のある誤ったOODAに基づいた判断を避けようとします。これはPDCAにおいても同様です。脳の疲労をもたらし負荷がかかっています。

これでは、OODAの理屈はわかっても実際に使うことはできません。OODAを回しても疲れるだけです。

効率的に脳を使う必要があります。


誤解:経営の現場への丸投げ

OODAを経営に適用すると以下のような懸念が出てきます:

  • 計画がなくなって現場は何をしたらいいか分からず混乱する
  • 現場に権限を移譲して現場の臨機応変な判断に依存して大丈夫か
  • 経営側が責任を丸投げできるか

OODAは経営と現場が同じ認識、価値観を持つことを求めます。

認識は、OODAの二番目のO:Orientation わかるで行われます。ここで共通価値観を持つように、見て、学び、身につけていきます。

この頭の中でもつ認識を、思考モデル:VSMAといいます。

思考モデル:VSMA」の詳細については、こちらを参照ください。


日本企業へのOODA適用の成果

日本企業へのOODA導入適用の成果については、こちらを参照ください。


OODA関連論文の公開

日本が再興するためにお役に立ちたいと考え、本稿等の論文を公開します。

OODAに関する主な論文とその要約は、こちらを参照してください。


OODA研修セミナー

OODAを紹介する研修セミナーの詳細については、こちらを参照ください。


OODA本の出版:アンケート依頼

OODAの考え方を日本の企業や組織に浸透していくことを期待する声が高くなってきています。このような要望に応え、OODA本の構想を練ってまいりました。

現在、みなさま方と一緒に書籍を作って行くために、本の内容についてご要望ご意見などをお伺いしております。

アンケート」をこちらにてお願いします。ホワイトペーパーをお礼に贈呈します。


お問い合わせ

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アイ&カンパニー・ジャパン マーケティング本部担当

著者:アイ&カンパニー 入江仁之
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